死戦期呼吸とは?息をしていると誤解する心停止サインと救命手順

死戦期呼吸とは?息をしていると誤解する心停止サインと救命手順についての真相をお届けします。

救急搬送の現場記録や119番通報録音の検証において、最も頻発している痛恨の事態が「正常性バイアスによる救命処置の遅れ」です。倒れた家族を前にした通報者は、「息はありますか?」という通信指令員の問いに対し、「苦しそうですが、ゼーゼー息をしています」と答えてしまうケースが後を絶ちません。

ある救急隊員の報告書には、次のような生々しい現場の証言が残されています。「現場到着時、倒れた夫のそばで妻が『息を吹き返そうと頑張っているから、声をかけながら見守っていた』と涙を流していた。しかし実際には重篤な心室細動による死戦期呼吸であり、その間の胸骨圧迫が行われていなかった」。

人間には、「まさか自分の目の前の人間が心停止しているはずがない」「少し休ませれば回復するのではないか」と思い込みたい心理が働きます。この心理的防衛機制が、死戦期呼吸を「呼吸している」と脳内で都合よく解釈させ、一次救命処置を致命的に遅らせる原因となっています。

山下 哲也

山下 哲也

自動車・モビリティライター

デジタルガジェットとスマート家電の検証記事を多数執筆。失敗しないモノ選びを提案します。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest