認知症の妄想・作り話に隠された真実|否定厳禁の理由と家族の心が軽くなる対応術
認知症の妄想・作り話に隠された真実|否定厳禁の理由と家族の心が軽くなる対応術の要点を詳しく解説してご紹介します。
介護現場や家族の手記において、最も多くの相談が寄せられるのが「物盗られ妄想への対応」です。家族介護者の手記や大手相談コミュニティには、次のような切実な告白が溢れています。
「実の母親から『あんたが私の年金を盗んだ』と警察に通報された。通帳を見せて説明しても『偽造した』と取り合ってくれない。人格まで否定されたようで涙が止まらない」(50代・長女の手記より)
なぜ、認知症の妄想を否定してはいけないのでしょうか。理由は明確です。認知症の患者は「出来事の事実関係」を忘れてしまっても、その場で感じた「悔しさ」「恐怖」「怒り」という感情の記憶は鮮明に脳に刻み込まれるからです。
「そんな事実はありません」「お母さんが置き忘れただけでしょ」と正論で論破しようとすると、本人は「自分の苦しみを否定された」「この人は敵だ」と認識します。その結果、被害妄想の対象が強固に固定化され、介護拒否や夜間徘徊、暴力といった行動・心理症状(BPSD)の悪化を招くという負のスパイラルに陥ります。