ベートーヴェン『トルコ行進曲』の真相!モーツァルトとの違いと難易度
ベートーヴェン『トルコ行進曲』の真相!モーツァルトとの違いと難易度の全貌を丁寧に掘り下げてご紹介します。
クラシック音楽の歴史において「トルコ行進曲」と呼ばれる楽曲の代表格といえば、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトとルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンの2作品です。両者は同じ「トルコ風(アッラ・トゥルカ)」を冠しながらも、成立背景や楽曲の意図が根本から異なります。
ベートーヴェンがこの旋律を世に送り出したのは1811年のこと。ハンガリーのペシュト(現在のブダペスト)に新設された帝室劇場の杮落とし公演のために依頼された劇音楽『アテネの廃墟』(作品113)の劇中歌(第4曲)として作曲されました。劇作家アウグスト・フォン・コッツェブーの戯曲に付けられたこの作品は、オスマン帝国の支配下で荒廃したアテネを舞台にしており、行進曲はトルコ兵の巡視部隊が行進する場面で演奏されます。
音楽劇としての演出上、ベートーヴェンは「ピアニッシモ(極めて弱く)から始まり、部隊が目の前を通過する瞬間にフォルテッシモ(極めて強く)へと達し、再び遠ざかって静寂の中に消えていく」という徹底した音量変化(クレッシェンド・デクレッシェンド)の設計を施しました。優雅なロンド形式をとるモーツァルトのピアノ・ソナタ第11番第3楽章に対し、ベートーヴェン版は「軍隊の空間的移動」を音の強弱で可視化したリアルな描写音楽です。