「ステンレスは錆びない」は嘘?サビの真因と落とし方・予防法をプロが解説
「ステンレスは錆びない」は嘘?サビの真因と落とし方・予防法をプロが解説とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを整理してお届けします。
金属加工業界や材料工学の現場において、「ステンレスは不銹鋼(ふしゅうこう)であって無銹鋼ではない」というのは共通の常識です。主成分である鉄(Fe)に10.5%以上のクロム(Cr)を添加することで、空気中の酸素とクロムが化学反応を起こし、表面に厚さわずか1〜3ナノメートルの「不動態皮膜(酸化クロム被膜)」を形成します。
この不動態皮膜は非常に緻密で、内部の鉄が酸素や水分と結びつくのを強固に遮断します。仮に表面が摩擦や傷で削られても、周囲に酸素が存在していれば瞬時に自己修復する特性を持っています。しかし、この自己修復システムには明確な限界点が存在します。
皮膜が再生できない環境に置かれた瞬間、隠れていた内部の鉄が一気に露出し、一般的なステンレスが錆びる原因へと直結します。主な破壊要因は以下の3点に集約されます。
- 酸素の供給遮断:汚れや油膜、密着した異物によって長期間酸素が届かない状態が続くと、皮膜の自己再生が停止します。
- ハロゲンイオン(塩分・塩素)の攻撃:塩化物イオンは不動態皮膜の結合を局所的に破壊し、微小な孔を開けて内部腐食を誘発します。
- 異種金属との長期間接触:電位差によるガルバニック腐食(異種金属接触腐食)が発生し、酸化反応が急速に促進されます。