「油を売る」の本当の意味とは?なぜサボる語源に?江戸の知られざる真相

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「油を売る」という言葉の直接の起源は、江戸時代の髪油の行商人(油売り)にあります。当時、女性たちの日本髪を整えたり、行灯(あんどん)の灯火用に使われたりしていた菜種油や椿油、胡麻油は、日常生活に欠かせない必需品でした。

行商人は天秤棒を担ぎ、長屋や裕福な武家・商家を一軒一軒巡回して油を量り売りしていました。この販売プロセスに、言葉が生まれる決定的な要因が存在します。

植物から搾り取った当時の油は現代の精製油よりも粘度(粘り気)が非常に高く、容器から漏斗(じょうご)を伝って客の持参した徳利や壺へと移し替える際、タラタラと細い糸を引くようにしか落ちませんでした。最後の一滴まで注ぎ切るには、どうしても数分から十分程度の待ち時間が生じてしまったのです。

この間、ただ黙って突っ立っていては気まずい空気が流れます。そこで機転を利かせた油売りの商人は、長屋の主婦や若い女性たちを相手に、町で流行しているファッション情報、歌舞伎役者のゴシップ、近隣の噂話などを披露し、場を盛り上げました。客側もまた、最新のニュースをもたらしてくれる油売りとの会話を大いに楽しみにしていました。

ところが、この光景を遠くから見ている周囲の人間や長屋の大家からするとどう見えるでしょうか。「あの油売りは、仕事の手を止めて四方山話ばかりしている」「客とダラダラとおしゃべりをしてサボっている」と受け取られたのです。ここから転じて、「無駄話をして仕事を怠けること」「用事の途中で時間を無駄遣いすること」を「油を売る」と呼ぶようになりました。

商人にしてみれば、顧客満足度を高めてリピーターを獲得するための高度な営業トーク(今日で言うカスタマーサクセスやリレーション構築)であったにもかかわらず、皮肉にも「サボり」の象徴として言葉だけが後世に残ってしまったというわけです。

森 瞳

森 瞳

ヘルス&ウェルネスアドバイザー

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

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