元巨人・條辺剛の讃岐うどんが愛され続ける理由|長嶋茂雄の看板と本場の魂
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オープン直後の開店時間である朝7時、東武東上線上福岡駅の東口周辺には、早くも独特のいりこ出汁の芳香が漂います。休日はもちろんのこと、平日の通勤時間帯であっても、朝一番の「朝うどん」を求めるビジネスパーソンや地元住民が次々と暖簾をくぐっていきます。昼時ともなれば店外まで折り返すほどの行列ができあがり、その光景はふじみ野市の日常的な風物詩として定着しています。
元有名プロ野球選手が引退後に飲食店を開業する事例は決して珍しくありません。しかし、その多くが知名度に頼ったタレントショップ化や高価格化に陥り、数年経たずに暖簾を下ろす厳しい現実に直面します。民間信用調査機関の統計でも飲食店の新規開業から3年以内の廃業率は約7割に達しますが、「讃岐うどん 條辺」は2008年の開業から一切の失速を見せることなく、むしろ年数を重ねるごとに評価を高めています。
大行列を生み出す最大の理由は、「元プロ野球選手の店」という先入観を一口で打ち砕く本物の味にあります。早朝4時前から仕込まれるうどんは、機械任せにしない丹念な手打ち・足踏みによる本場香川の伝統製法。カウンター越しに見える厨房では、体躯の大きな條辺氏本人が黙々と麺棒を握り、茹で釜の蒸気の中で真剣な眼差しを注ぎ続けています。名声に溺れることなく、一杯のうどんに魂を注ぎ込むその実直さが、グルメ層や讃岐うどん巡礼者たちの舌を唸らせているのです。