伏見稲荷大社の読み方は?大社の違いや総本宮の歴史を徹底解説
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日本全国の街角や企業ビルの屋上、農村の片隅に至るまで、至るところに祀られている「お稲荷さん」。その頂点に君臨し、全国稲荷神社の総本宮として崇められる伏見稲荷大社の歴史は、奈良時代初頭の711年に始まります。
渡来系氏族・秦氏による創建と「イネナリ」の語源
山城国風土記の逸文によると、豪族・伊侶巨秦公(いろこのはたのきみ)が餅を的にして矢を射たところ、その餅が白鳥となって飛び去り、山の峰に降り立って稲が生えたという神話が残されています。この「伊禰奈利(いねなり=稲が生る)」という奇瑞に基づき、和銅4年2月初午の日に神を祀ったのが社の起源とされています。
先進的な農耕技術や土木・醸造技術を有していた渡来系氏族・秦氏(はたうじ)の氏神として始まった信仰は、平安京遷都に伴い朝廷からも篤く保護されるようになり、東寺の建立時には鎮守社として位置づけられました。中世以降は農業神から商業神・産業神へと神格を広げ、江戸時代には庶民の間で「現世利益を即座に授けてくれる神」として爆発的な流行を見せました。
伏見稲荷大社のご祭神と「神仏習合」の痕跡
伏見稲荷大社にお祀りされているのは、以下の五柱の神々(稲荷五社大明神)です。
- 主祭神:宇迦之御魂大神(うかのみたまのおおかみ)=食物・穀物を司る神
- 配祀神:佐田彦大神(さたひこのおおかみ)=導きの神(猿田彦命と同義)
- 配祀神:大宮能売大神(おおみやのめのおおかみ)=和合・芸能・接客の神
- 配祀神:田中大神(たなかのおおかみ)=地主神・農地守護
- 配祀神:四大神(しのおおかみ)=四季の恵み・四方の守護
神仏習合の時代、稲荷神は仏教の女神である「荼枳尼天(だきにてん)」と習合し、全国へ広まりました。明治の神仏分離令によって仏教的要素は公式に排去されましたが、今なお境内背後の稲荷山に無数に残る「お塚信仰」の石碑群には、庶民が独自に名付けた神名や仏教信仰の名残が色濃く残されており、民俗学的に極めて特異な信仰空間を形成しています。