摘便とは?介護職の実施可否や正しい手順・危険なリスクを徹底解説
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摘便とは、直腸内に滞留して硬化した便を、指を用いて物理的に分割・摘出する排便介助法です。医学的には「用手排便(手技による排便)」とも呼ばれます。長期の臥床、水分摂取不足、麻薬性鎮痛薬の副作用、加齢による腸管蠕動運動の低下などが重なると、直腸内で便の水分が極度に失われ、石のように硬い便塊(糞便塞栓)が形成されます。こうなると、本人がいくらいきんでも自力排出が不可能となり、激しい腹痛や腹部膨満感、腸閉塞(イレウス)様症状を引き起こします。
現場で混同されやすいのが摘便と浣腸の違いです。浣腸はグリセリンなどの薬液を直腸内に注入し、腸管壁を刺激して蠕動運動を促すとともに、便を滑りやすくして自力排便を誘発する処置です。一方の摘便は、すでに薬液注入用ノズルの挿入すら阻むほど硬い便が肛門直上に蓋をしている状態や、浣腸を行っても便塊が大きすぎて排出されない場合に適応されます。つまり、摘便は薬物療法や浣腸が無効であった際の「最終手段」としての性格を持ちます。
また、重度の便秘において水様便が漏れ出る「奇異性下痢(便秘に伴う下痢様便の流出)」が見られる場合も、直腸深部に巨大な宿便が栓をしているケースが多く、正確な直腸診とアセスメントを経て摘便が必要と判断されます。