氷川きよしや山内惠介を育てた巨匠水森英夫が拓く歌謡界の新章

氷川きよしや山内惠介を育てた巨匠水森英夫が拓く歌謡界の新章の注目ポイントを詳しく解説してご紹介します。

作曲家としての水森の手腕を世に知らしめた金字塔といえば、氷川きよしの鮮烈なデビュー曲『箱根八里の半次郎』に他ならない。伝統的な股旅物の意匠をまといながらも、どこか瑞々しく軽快な疾走感を持たせた構成は、低迷が叫ばれていた歌謡界に大きな風穴を開けた。古臭いと見なされがちだった様式美を、若者さえも惹きつける鮮烈なエンターテインメントへと昇華させた瞬間だった。

さらに山内惠介の転機となった『風蓮湖』では、北の厳しい情景と孤独な恋心を叙情豊かに描き出し、本格的なバラードとしての品格を提示した。日本の伝統的なヨナ抜き音階を基礎に据えつつ、西洋音楽のドラマティックなコード進行を緻密に織り交ぜる。その職人技とも言える構築美が、聴き手の情動を自然と引きずり込む。

日本クラウンをはじめとする主要レコード各社からの信望も厚く、日本作曲家協会においても中枢として業界を牽引してきた水森。彼の旋律が普遍性を持つのは、演歌という狭い枠組みに囚われず、日本人が無意識に共有する原風景と美意識をすくい上げる卓越した嗅覚があるからに他ならない。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

暮らしを豊かにする便利アイテムや時短アイデアを中心に、実用的な情報をお届けします。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest