乳がんのタイプ分類で予後はどう変わる?知るべき最新治療戦略
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乳がんのバイオロジーを決定づける主な因子は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PgR)、そしてHER2受容体の発現状況と、細胞増殖能を示すKi-67値である。これらの組み合わせにより、臨床現場では大きく4つのサブタイプに分類され、治療戦略が根底から組み立てられる。
まず、全体の約7割を占めるホルモン受容体陽性群の代表格がルミナルA型乳がんである。ホルモン受容体が強く発現し、増殖活性が低いこのタイプは、一般に予後が良好で、5年から10年にわたる内分泌療法が治療の主軸となる。一方、同じホルモン受容体陽性でもKi-67が高値を示すルミナルB型では、内分泌療法に加えて化学療法の併用やCDK4/6阻害薬の導入が検討される。
かつて最も進行が速く難治性と恐れられていたHER2受容体陽性型は、トラスツズマブをはじめとする分子標的治療の登場によって劇的なパラダイムシフトを経験した。抗体薬物複合体(ADC)と呼ばれる高精度な薬剤が開発されたことで、標的細胞にピンポイントで抗がん成分を送り込むことが可能となり、長期生存率は飛躍的に向上している。
ホルモン受容体もHER2も持たないトリプルネガティブ乳がんは、従来の分子標的が効かないため化学療法が中心とされてきた。しかし近年では、免疫チェックポイント阻害薬やPARP阻害薬、新たな標的分子に対するADCの登場により、これまで治療選択肢が限られていた難治例に対しても治療成績の改善が報告されている。