非常口マークの緑と白の違いとは?日本発デザインの驚くべき秘密

非常口マークの緑と白の違いとは?日本発デザインの驚くべき秘密の基礎知識と応用に迫る! 専門的な視点でご紹介しています。

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今や地球上のあらゆる都市で見かける「ドアへ向かって駆け込む人物」のアイコン。この世界共通語とも言える表現は、実は日本で誕生した。その歴史的背景には、痛ましい大規模火災事故の教訓が存在する。

1970年代、千日デパート火災や大洋デパート火災など、雑居ビルや商業施設での惨事が相次いだ。当時設置されていた誘導灯は「非常口」という漢字の文字表記が中心であり、煙で覆われた暗闇の中では視認性が著しく低く、さらに外国人旅行者には意味が伝わらないという致命的な課題が露呈したのだ。

事態を重くみた当時の消防機関は、文字に頼らない視覚言語の導入に踏み切った。こうして立ち上がったのが1982年消防庁非常口ピクトグラム制定プロジェクトである。総務省消防庁(当時・自治省消防庁)の主導のもと、全国からデザイン案を公募するコンペティションが開催された。

応募総数3,000点を超えるデザインの中から見事に選出されたのが、グラフィックデザイナーの小谷松敏文による原案だった。躍動感あふれるランニングフォームで直感的に退路を示す画期的なアイデアだ。そして、この原案を公共サインとしての洗練された造形美へと磨き上げたのが、多摩美術大学教授を務めた太田幸夫である。

太田は人物の角度や脚の開き具合、枠組みとの余白バランスをコンマ数ミリ単位で緻密に修正した。あえて「猛スピードで逃げる姿」ではなく「落ち着いて出口へ向かう姿」へとフォルムを調整することで、避難者の焦りを煽らない絶妙な心理配慮を組み込んだ。このプロジェクトには公益社団法人日本サインデザイン協会も深く関わり、視覚コミュニケーションの最高峰として洗練されたピクトグラムが完成したのである。

鈴木 陽菜

鈴木 陽菜

テックライター兼ウェブディレクター

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