震災から2年、伝統工芸の「これまでとこれから」を塗り替える——輪島キリモトが挑む漆と木の未来
震災から2年、伝統工芸の「これまでとこれから」を塗り替える——輪島キリモトが挑む漆と木の未来の全貌を分かりやすくまとめてご紹介します。
輪島塗といえば、ツルリとした艶やかな黒漆や朱漆のイメージが強い。しかし、キリモトを代表する「蒔地(まきじ)」シリーズは、その固定観念を心地よく裏切ってくれる。蒔地とは、漆を塗った表面に珪藻土(けいそうど)の粉末を蒔き、その上からさらに漆を塗り重ねる独自の技法だ。表面には細かな凹凸が残り、まるで金属や石のようなマットで落ち着いた質感を生み出す。
この蒔地仕上げの最大の特徴は、和食だけでなくナイフやフォークを使う洋食でも傷がつきにくい点にある。金属製のカトラリーが触れても嫌な音がせず、使い込むほどに表面の漆が少しずつ透け、独特のしっとりとしたツヤが増していく。「道具は大切に箱に仕舞い込むものではなく、毎日使って育てていくもの」。そんな思想が、この一皿ひと皿にしっかりと息づいている。