大人同士の養子縁組はなぜ選ばれる?相続対策やリスクと手続きの真相
大人同士の養子縁組はなぜ選ばれる?相続対策やリスクと手続きの真相について重要なポイントを解説いたします。専門家の見解をご覧ください。
大人同士の養子縁組(成人養子縁組)が選択される背景には、感情的な結びつき以上に、極めて現実的かつ実務的な要請が存在します。主な活用動機は「事業承継」「相続・資産対策」「パートナーシップの法的保護」の3つに集約されます。
第一の動機は、中小企業や伝統芸能、医療法人などにおける事業承継における養子縁組です。経営者の親族に適任者がいない場合、優秀な役員や従業員、娘の配偶者(いわゆる婿養子)を法的な養子として迎え入れることで、後継者に自社株や事業用資産を集中して引き継がせる基盤を作ります。血縁関係のない第三者に承継させるよりも親族内の反発を抑えやすく、対外的な信用を維持しやすいという実務上の利点があります。
第二の動機は、富裕層を中心に行われる養子縁組の節税対策です。養子縁組を結ぶと法定相続人の数が増加するため、相続税の基礎控除額(3,000万円+600万円×法定相続人の数)が拡大します。さらに、生命保険金や退職手当の非課税枠(各500万円×法定相続人の数)も広がるため、資産の圧縮効果を狙って子の配偶者や孫を養子にする手法が長年用いられてきました。
第三の動機として近年選択されるのが、同性カップルの養子縁組です。現行の法制度下において同性婚が認められていない中、一方が他方の養親または養子となることで、法的な家族関係(親族関係)を構築します。これにより、大人同士の養子縁組と相続権が発生し、遺言書がなくても法定相続人として遺産を相続できるようになるほか、医療現場での緊急手術の同意や面会権、公営住宅への同居入居資格など、生活上の法的保障を確保する手段として機能しています。