楽譜の歴史を徹底解剖!最古の記譜から五線譜誕生の謎まで全解説
楽譜の歴史を徹底解剖!最古の記譜から五線譜誕生の謎まで全解説にまつわる興味深い視点を分かりやすく発信ます。
古代の文字譜が一度途絶えた後、ヨーロッパで新たな記譜法が胎動したのは8世紀から9世紀にかけての中世キリスト教会でした。広大な領土に広まったカトリック教会では、典礼で歌われる「グレゴリオ聖歌」の旋律をすべての修道院で統一する必要に迫られていました。
そこで考案されたのが、最古の音楽記号とされる「ネウマ譜」です。初期のネウマ(古代ギリシャ語の「身振り・合図」に由来)は、歌詞の上に点や波線、鉤状の線を書き入れ、指揮者の手の動きや旋律の上下動を示すための補助メモに過ぎませんでした。音の絶対的な高さは示されておらず、すでに歌を知っている人が思い出すための「記憶の引き金」に留まっていたのです。
しかし口承による伝承では地域ごとの歌い崩れが避けられず、やがて基準となる1本の水平線が引かれるようになります。基準線としてF音(ファ)を示す赤線やC音(ド)を示す黄線が書き加えられ、これが「4本線楽譜」へと発展しました。
当時なぜ線が4本だったのかという理由は、歌い手の声域にあります。グレゴリオ聖歌は単旋律の合唱曲(モノフォニー)であり、人間の声が無理なく出せる音域はおおむね1オクターブ強に収まります。4本の線と線と線の間のスペース(間)を使えば9音程を無理なく配置できたため、当時の教会音楽には4本線が最も無駄のない合理的なフォーマットだったのです。