デイビー・ジョーンズのオルゴールに秘められた愛と涙の真相【解説】
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2006年公開の映画『パイレーツ・オブ・カリビアン/デッドマンズ・チェスト』で観客に強烈な衝撃を与えたのが、デイビー・ジョーンズの初登場シーンに続く船長室の描写でした。タコの触手を鍵盤の上で激しくうねらせながら巨大なパイプオルガンをかき鳴らす異形の船長。激しい演奏の合間、ふと視線を落とした先にある小さなオルゴールが開いた瞬間、彼の頬を一筋の涙が伝います。
このデイビー・ジョーンズのパイプオルガンシーンは、彼が決して生まれながらの怪物ではなかったことを無言のうちに雄弁に物語っています。人間としての温もりや優しさを自ら捨て去り、胸から自らの心臓を抉り出して箱に封印したはずの男が、唯一捨て切れなかったのがこのオルゴールの音色でした。オルゴールの繊細でか細い響きと、部屋全体を揺るがすパイプオルガンの重低音の対比は、凶暴な支配者の鎧の奥深くに閉じ込められた「癒えない心の傷」を鮮やかに浮き彫りにしています。