史記『廉頗藺相如』現代語訳とあらすじ|刎頸の交わりの真相を徹底解説
話題沸騰中の 史記『廉頗藺相如』現代語訳とあらすじ|刎頸の交わりの真相を徹底解説について、多角的な視点を分かりやすく掲載しています。
「欠点がまったくなく完全であること」を意味する「完璧」という言葉は、このエピソードから生まれました。事の発端は、趙の恵文王が楚の名宝「和氏の璧(かしのへき:美しい宝玉)」を手に入れたことに始まります。
これを聞きつけた秦の昭襄王(しょうじょうおう)は、「秦の15の城と璧を交換しよう」と申し入れました。しかし、秦は約束を守らず璧だけを奪い取る気であることは明白でした。断れば秦に攻め込む口実を与え、渡せば国宝を騙し取られるという絶体絶命の局面で白羽の矢が立ったのが、当時宦官の食客に過ぎなかった藺相如でした。
【白文・書き下し文・現代語訳の対照】
【白文】
秦王坐章台見相如。相如奉璧奏秦王。秦王大喜、伝以示美人及左右。左右皆呼万歳。相如視秦王無意償趙城。乃前曰、「璧有瑕。請指示王。」王授璧。相如因持璧却立、倚柱、怒髪上衝冠。
【書き下し文】
秦王章台に坐して相如を見る。相如璧を奉じて秦王に奏す。秦王大いに喜び、伝へて以て美人及び左右に示す。左右皆万歳を呼ぶ。相如秦王の趙に城を償ふに意無きを視る。乃ち前(すす)みて曰はく、「璧に瑕(きず)有り。請ふ王に指示せむ。」と。王璧を授く。相如因(よ)りて璧を持して却立し、柱に倚(よ)り、怒髪上りて冠を衝(つ)く。
【現代語訳(口語訳)】
秦王は離宮の章台に座って藺相如を引見した。相如は璧を捧げて秦王に献上した。秦王は大いに喜び、側室や側近たちに回して見せた。側近たちは皆「万歳」と歓声を上げた。相如は秦王が趙に城を割譲して埋め合わせる意志がないことを見抜いた。そこで進み出て、「璧に小さな傷がございます。王にお見せいたしましょう」と言った。秦王が璧を手渡すと、相如は璧を持ったまま後ずさりして柱に背をつけ、激しい怒りで髪の毛が冠を突き上げるほどいきり立った。
藺相如は「城を渡す約束を守らないのであれば、私の頭ごとこの璧を柱に叩きつけて砕く」と秦王を脅迫しました。さらに秦王が璧を惜しんで城の割譲を口約束すると、相如は「5日間の斎戒(身を清める儀式)」を秦王に要求。その隙に従者に粗末な服を着せ、間道を通って璧を秘密裏に趙へ送り届けさせたのです。これが「璧を完(全)うして趙に帰る(完璧帰趙)」の由来です。