国境を越え遺族へ命を繋ぐ「国際霊柩送還士」過酷な現実に挑む執念
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深夜2時、静寂を切り裂いて一本の電話が鳴り響く。東南アジアのビーチリゾートで急死した日本人旅行者の報せだ。現地警察からの連絡を受け、チームは即座に始動する。言葉の壁、複雑な現地の死亡診断書、そして高温多湿な気候による遺体の傷み——条件は常に最悪だ。
現場では時間との壮絶な闘いが繰り広げられる。日本の外務省や現地の日本大使館と密に連携を取りつつ、出入国管理手続きや航空会社への積載許可を一気に取り付けなければならない。しかし、真の戦いは遺体処置室で始まる。感染症対策を完璧に施しながら、事故で傷ついた顔や体をひとつひとつ丁寧になめらかに整え、まるで眠っているかのような穏やかな表情を取り戻していく。海外渡航者の急増に伴い要請件数は過去最高レベルを記録しているが、作業にあたるプロたちの眼差しに妥協の二文字はない。「いってらっしゃい」ではなく「おかえりなさい」を遺族に言わせるため、彼らは眠気も忘れて遺体に向き合い続ける。