中村嘉葎雄の妻・貴島則子の献身劇!名門萬屋を陰で守り抜いた愛
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映画史に燦然と輝く数々の傑作において、中村嘉葎雄が見せた演技は今なお語り草だ。五社英雄監督の映画『鬼龍院花子の生涯』で見せた凄みと哀愁、そして黒澤明監督の映画『乱』における鉄(くろがね)役の狂気と忠義――。日本映画界が誇る名匠たちから絶大な信頼を寄せられた背景には、私生活の安定がもたらす精神的な強靭さがあった。
徹底したリアリズムと完璧主義で知られる黒澤組の過酷な撮影現場において、嘉葎雄は極限まで神経を研ぎ澄ませて役に入り込んだ。精神をすり減らすような現場から帰宅した夫を、妻は一切の詮索をせず、温かい食事と静寂で迎え入れたという。
役者が日常と非日常の境界線で正気を保ち、狂気スレスレの名演をフィルムに刻み込むためには、絶対的な日常へと引き戻してくれる存在が不可欠だ。映画『乱』で世界中を震撼させたあの圧倒的な眼光は、平穏な家庭という確かな足場を築き上げた妻の内助の功によって育まれたものだったと言っても過言ではない。