やなせたかしの弟・千尋の生涯とアンパンマン誕生に秘められた真実

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戦後の混乱期を経て、やなせが世に送り出した『それいけ!アンパンマン』は、従来の格闘型ヒーローとは根底から異なる異色の存在だった。自分の顔をちぎって飢えた者に与え、自らの身を削りながら命を救う。この独特な行動理念の背景には、戦時中に弟を失った絶望と、自身が切実に味わった極限の空腹体験が存在する。

「本当の正義とは、威勢よく敵を倒すことではない。目の前で飢えている人にパンを差し出すことだ」――。この強いメッセージは、戦死した千尋をはじめとする無数の若者たちの犠牲に対する、兄なりの悼みの詩でもあった。自分の命を差し出してでも他者を救うアンパンマンの姿に、散っていった弟の面影を重ね合わせる研究者は少なくない。

林 結菜

林 結菜

ライフスタイル編集者

エンタメ・カルチャー業界の深掘り取材を得意とし、現場のリアルな声をお伝えします。

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