銀幕の気品とお茶の間の笑い——中村玉緒が日本人に届けてくれた「生きる愛おしさ」の記録
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1950年代から60年代にかけて、日本映画は黄金時代を謳歌していた。その渦中にあった大映で、彼女は瞬く間に看板女優の一人へと駆け上がる。
溝口健二や市川崑といった日本映画史に名を刻む巨匠たちの現場で鍛え上げられた演技力は本物だった。耐え忍ぶ日本の伝統的な女性像から、激情を秘めた複雑な心理描写まで、画面に佇むだけで物語を成立させる圧倒的な存在感を放っていた。当時のフィルムを振り返ると、そこには現在のお茶目なイメージからは想像もつかないほどシャープで、匂い立つような艶やかさを纏った大女優の姿がある。