本場のバターチキンカレーは甘くない?発祥の歴史と驚きの味付けの真相
本場のバターチキンカレーは甘くない?発祥の歴史と驚きの味付けの真相について専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をご確認ください。
日本の外食チェーンや家庭用レトルトで提供されるバターチキンカレーの多くは、砂糖や蜂蜜、マンゴーチャツネなどを加え、甘みを前面に押し出した仕立てが主流です。子供から大人まで食べやすいマイルドさが魅力ですが、インド現地のレストランで提供される一皿を口にすると、その予想は心地よく裏切られます。
現地で「ムルグ・マカニ(Murgh Makhani=バターの鶏肉料理)」と呼ばれる本場のカレーは、決してベタつくような甘さを持っていません。最大の土台となるのは、完熟トマトがもたらす鮮烈な酸味です。じっくりと煮詰めて酸味を凝縮させたトマトベースに、バターや生クリームのリッチな油脂が溶け合い、重厚でありながら後味が驚くほどスッキリとしたキレを生み出しています。
辛さの真相についても誤解されがちですが、本場では唐辛子の刺激を完全に消し去ることはありません。カシミールチリと呼ばれる鮮やかな赤色と穏やかな辛味を持つスパイスをベースに使い、ガラムマサラの複雑な温かみが舌の上に心地よい刺激を残します。「甘み」は砂糖によるものではなく、じっくり炒めた玉ねぎや後述するカシューナッツ、そして乳製品由来のまろやかさによって自然に演出されているのが本場の真髄です。