『大鏡』花山天皇の出家を品詞分解!現代語訳と文法を完全網羅
『大鏡』花山天皇の出家を品詞分解!現代語訳と文法を完全網羅に関する専門家の意見を詳しく解説いたします。
古典読解において最大の関門となるのが「敬語の主客判定」です。『大鏡』は歴史物語であり、老人の語り手(大宅世継ら)が聞き手に対して語る「地の文」と、登場人物同士の「会話文」が交錯します。
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1. 地の文における敬意の方向
地の文で使われる敬語の主体(敬意を払っている人)は、すべて語り手(大宅世継 / 筆者)です。
- 最高敬語(せたまふ / させたまふ / おはします)の客体:常に花山天皇(花山院)に向かいます。当時、在位中の天皇および太上天皇に対する敬意は絶対的でした。
- 通常の尊敬語(たまふ)の客体:藤原道兼(粟田殿)や藤原兼家など、高位の貴族に対しても敬意が払われます。
2. 会話文における敬意の方向
道兼が花山天皇に対して語る場面では、徹底したへりくだりと奏上の形式が取られます。
- 「奏したまふ」:「奏す」は天皇・上皇に申し上げる専用の謙譲語(道兼から天皇への敬意)。それに語り手から道兼への尊敬語「たまふ」が付いています。
- 「まかり出でて…申し侍りて…まかり参らむ」:道兼が自分の動作をへりくだる謙譲語(まかる・申す)と、聞き手である天皇への丁寧語(侍り)を用いています。道兼は出家を裏切る直前まで、完璧な臣下の礼を取り繕っていたことが文法からも読み取れます。