李良枝の文学碑が西桂町にある理由|芥川賞『由熙』の原点と魂の碑文
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現地を訪れると、自然石を活かした重厚な石碑に、李良枝の直筆による文字が刻まれているのを目にすることができます。
碑に刻まれた言葉は、彼女が生涯を通じて追い求めた「母国語と日本語」「自己の存在理由」に対する根源的な問いかけです。デビュー作『ナビ・タリョン(蝶の詠嘆)』で見せた伝統芸能・伽耶琴(カヤグム)への傾倒、そして芥川賞を受賞した『由熙』で描かれた、韓国へ留学しながらも完全には同化しきれない主人公の痛切な孤独。それらすべての作品に通底する「言葉の重み」が、碑文の文字一つひとつから立ち上ってきます。
富士の吹き抜ける風のなかで碑文を読むとき、読者は彼女が文章に命を削りながら託した、人間の根源的な孤独と再生への祈りに直接触れるような感覚を覚えます。