杉浦直樹の知られざる素顔と名演の軌跡『岸辺のアルバム』の真相
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山田太一と並び、彼の魅力を極限まで引き出したのが脚本家・向田邦子だった。NHKで放送された名作ドラマ『父の詫び状』や『あ・うん』において、昭和の日常に潜む情念と滑稽さをこれ以上ない説得力で演じ切っている。
とりわけ『あ・うん』で見せたフランキー堺との息の合った掛け合いは圧巻だった。親友の妻に密かな思慕を抱きながら、生涯の友情を貫く水田初太郎役。不器用で、粋で、どこか哀愁が漂う男の生き様は、向田ドラマの真骨頂といえる。昭和初期の空気感をまとい、何気ない所作一つに男のやせ我慢と優しさを滲ませる演技は、日本のテレビ界における至高の職人芸であった。