もののけ姫の歌声は今どこへ?米良美一が語る闘病と奇跡の再起
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1990年代半ば、日本の音楽業界において「カウンターテナー」という言葉を知る者はごくわずかだった。男性が裏声(ファルセット)を駆使して女性アルトやソプラノの音域を歌うこの声種は、主にヨーロッパの古楽やクラシック音楽の限られた領域でのみ親しまれていたからだ。
その常識を一夜にして覆したのが、スタジオジブリによるアニメーション映画『もののけ姫』である。作曲を手掛けた久石譲の流麗なメロディ、そして宮崎駿監督自らが紡ぎ出した神話的な歌詞。そこに命を吹き込んだのが、当時20代半ばだった米良美一の歌声だった。男声とも女声ともつかない、どこかこの世ならざる美しさをたたえたハイトーンボイスは、日本中の映画館を包み込み、社会現象となった。
CDセールスはミリオンセラーを記録。クラシックの声楽家がオリコンチャートの上位を独占するという、前代未聞の事態が巻き起こったのである。