『バケモノの子』楓はいらない?嫌われる理由と真の役割を徹底考察
『バケモノの子』楓はいらない?嫌われる理由と真の役割を徹底考察とはどんな影響があるのか? 主要なファクトを整理してお届けします。
細田守監督が本作に楓を登場させた最大の演出意図は、作中で象徴的に引用されるハーマン・メルヴィルの小説『白鯨』と密接にリンクしています。
『白鯨』は、巨大な白いクジラに復讐を誓うエイハブ船長の破滅を描いた名作文学です。劇中において、一郎彦が変貌した巨大なクジラは「自らを呑み込もうとする心の闇や憎悪」そのもののメタファーとして描かれます。そして、九太自身もまた、一歩間違えれば自らの心の闇に呑まれてクジラ(バケモノ)になってしまう危うさを孕んでいました。
ここで決定的な役割を果たすのが楓です。楓が九太に手渡した『白鯨』の本、そして彼女の腕から九太へと託された赤いブレスレット(栞の紐)は、九太が人間としての理性と自分自身を見失わないための「命綱」でした。
もし楓が存在せず、知識や言葉を持たないまま戦っていれば、九太は一郎彦の闇を倒すために自らも闇に身を投じるしかありませんでした。楓という「言葉と知性を持つ人間」が隣にいたからこそ、九太は復讐や破壊の衝動に打ち勝ち、人間として生きる道を選択できたのです。