薬の使用期限切れは飲める?薬剤師が暴くリスクと開封後の安全目安

薬の使用期限切れは飲める?薬剤師が暴くリスクと開封後の安全目安に関する基本知識を徹底的にまとめました。要点を確実におさえることができます。

ネット上の掲示板やSNSでは、「期限が切れて半年経った解熱剤を飲んだけれど何ともなかった」「多少過ぎていても問題ないはず」といった個人の体験談が散見されます。しかし、医療の現場においてこれは極めて危ういギャンブルとみなされます。薬の使用期限が切れるとどうなるかの理由は、単に主成分の効力が薄れるだけにとどまりません。

医薬品の有効期間は、製薬企業が実施する「安定性試験(長期保存試験・加速試験)」に基づき、有効成分が設計値の95〜105%(または90%以上)を維持し、かつ有害な分解生成物が基準値以下であることを確認したうえで設定されています。期限を過ぎた薬の内部では、以下のような物理的・化学的変化が不可逆的に進行しています。

第一に、主成分の加水分解や酸化による分解です。薬の有効成分が空気中の湿気や酸素、熱によって別の化学物質へと変質します。変質した分解物は薬効を示さないだけでなく、本来想定されていない毒性や強い刺激性を持つケースがあります。

第二に、添加剤(賦形剤・崩壊剤・保存剤など)の劣化です。錠剤を胃の中で速やかに溶かすための崩壊剤が劣化すると、薬が溶けずにそのまま排出されて全く効果を発揮しなくなります。さらに深刻なのが、液剤や目薬に含まれる防腐剤の失活です。防腐効果が切れた薬剤内では雑菌や真菌(カビ)が爆発的に増殖し、それを体内に取り込むことで重い感染症を引き起こす引き金となります。

このように、薬の使用期限と品質変化の最新詳細まとめを紐解けば、「効かないだけだから害はない」という認識がいかに医学的根拠を欠いた危険な思い込みであるかが分かります。

井上 凛

井上 凛

シニアコンテンツプロデューサー

心身ともに健康で持続可能なライフスタイルをテーマに、最新のウェルネストレンドを発信中。

Share this article
Twitter Facebook Pinterest