【2026年ルポ】スマホの次に来た「視線クライシス」——スマートグラス時代、なぜ私たちは街で「目のやり場に困る」のか

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視線の困惑を引き起こしているのは、個人が装着するウェアラブルデバイスだけではない。都市のインフラそのものが発する「視覚的情報量」の急増も大きな要因だ。

2026年現在、都心の主要路線や路線バスの窓ガラスには、透明有機ELディスプレイが全面的に採用されている。移動中、車窓の景色の手前に鮮やかなシームレス広告やニュース速報、リアルタイムの天気予報が浮かび上がる仕様だ。さらにはビル群の外壁や歩道沿いにも、歩行者の動線に合わせてインタラクティブに変化する視覚コンテンツが張り巡らされている。

「ボーッと外を眺めて息を抜く」という、かつての気晴らしはもはや容易ではない。ぼんやり視線を送った先には必ず何らかのデジタル広告か、あるいは視覚情報を遮ろうとする他者の姿がある。視線を休ませるための「無の情報空間」が都市から消え去ったことで、私たちの視神経と脳は絶え間ない過剰刺激に晒され続けているのだ。

高橋 健太

高橋 健太

ライフスタイル編集者

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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