身内が亡くなったらしてはいけないこと!預金引き出しの罠と相続の鉄則
身内が亡くなったらしてはいけないこと!預金引き出しの罠と相続の鉄則に関する深掘り解説を丁寧に解説いたします。
家族が亡くなった際、最も多くの方が犯してしまいがちな重大な過ちが、故人のキャッシュカードを使った生前・死後の預金の引き出しです。病室で暗証番号を聞いていた長男や同居の親族が「葬儀費用に充てるためだから問題ないはずだ」とATMへ走る光景は日常茶飯事ですが、法的には極めて危険な行為に該当します。
人が死亡した瞬間、その名義の財産はすべて「全相続人の共有財産」へと移行します。金融機関が名義人の死亡を把握すると直ちに銀行口座の凍結が行われ、一切の入出金が停止されますが、銀行が死亡の事実を知る前のタイムラグを突いて無断で現金を引き出す行為は、他の共同相続人から見れば「遺産の無断着服(横領)」とみなされかねません。実際に家庭裁判所の調停現場では、引き出された現金の使途を巡る使途不明金トラブルが後を絶たず、領収書が1円単位で揃っていなければ親族間で民事訴訟に発展する例が日常的に発生しています。
さらに深刻なのが、民法921条が定める「単純承認のリスク」です。遺産の一部を独断で処分・消費したと判断された場合、法律上「プラスの財産もマイナスの借金もすべて無条件で受け入れる」とみなされます。万が一生前の故人に多額の連帯保証債務や隠れた借金、未払いの医療費・税金が存在していたとしても、もはや相続放棄の手続きを選択する権利を永久に失い、遺族自身が私財を投げ打って借金を返済しなければならなくなります。
どうしても当面の葬儀費用や入院費用の支払いが必要な場合は、2019年の民法改正で施行された「預貯金の仮払い制度(遺産分割前の相続預金の払戻し制度)」を利用するのが正当な手順です。各金融機関の窓口で法定の証明書類を提示すれば、「死亡時の預金残高×3分の1×法定相続分(同一金融機関につき上限150万円)」の範囲内で、他の相続人の合意なしに正当に現金を引き出すことが可能です。