東電・吉田昌郎元所長が語った原発事故の真実|極限の決断と舞台裏
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政府事故調査委員会が作成した、通称「吉田調書」。約500ページに及ぶこの膨大なヒアリング記録には、事故当事者の生々しい感情と、命令系統の途絶による混乱が克明に刻まれている。
調書の中で吉田氏は、当時の菅直人首相をはじめとする政治指導部からの介入や、現場の現実から乖離した本店からの指示に対して、強い憤りと戸惑いを隠していない。現場の状況を把握しきれないまま出される的外れな問合せに追われ、貴重な対応時間が削られていった実態が明かされている。
「撤退」をめぐる議論についても、吉田氏は「第一原発を見捨てる選択肢など存在しなかった」と断言していた。全員撤退という誤解が一人歩きした背景には、本店と官邸、そして現場との間における情報伝達の機能不全があった。命の危険と背中合わせの状況で交わされたやり取りは、非常時における指揮命令系統の弱点を厳しく突きつけている。