映画版『そして誰もいなくなった』歴代比較と衝撃の結末・犯人の真相
映画版『そして誰もいなくなった』歴代比較と衝撃の結末・犯人の真相の概要と注目ポイントを一挙に解説しました。
2010年代以降の映像化において特筆すべきは、映画という約2時間の尺の制約を脱し、複数話構成のテレビドラマとして制作されたBBC版と日本版の存在です。連続ドラマという形式を得たことで、各登場人物が抱える過去の罪過や心理的葛藤が映画版以上に細密に描かれることとなりました。
英国BBC版(2015年)は、アガサ・クリスティの映像化作品における記念碑的傑作です。脚本を担当したサラ・フェルプスは、原作の持つダークでシニカルなトーンを一切希釈することなく再現しました。舞台となる孤島の洋館はモダニズム建築の冷徹な佇まいを見せ、第一次世界大戦のPTSDを抱えた兵士や、階級社会の歪みの中で罪を犯した男女の欺瞞が生々しく暴かれます。特に、ウォーグレイヴ判事を演じたチャールズ・ダンスの威厳と狂気、そしてエイダン・ターナー演じるロンバートの虚無的な色気は世界的な賞賛を浴びました。
一方、テレビ朝日版(2017年)は、原作のプロットを巧みに日本の昭和・平成の社会背景へと落とし込んだ意欲作です。豪華キャスト陣の顔ぶれは、日本サスペンスドラマ史の総決算とも呼べる重厚さを誇りました。
- 白峰涼(元水泳選手/家庭教師ポジション):仲間由紀恵
- 磐村兵庫(元東京地裁裁判長/ウォーグレイヴ判事ポジション):渡瀬恒彦
- 相川丈林(元国会議員/マッカーサー将軍ポジション):津川雅彦
- 翠川信介(外科医/アームストロング医師ポジション):橋爪功
- 星空綾子(元女優/エミリー・ブレントポジション):大地真央
- ケン石動(元傭兵/フィリップ・ロンバートポジション):向井理
童謡の「十人の兵隊」を「十人のインディアン人形」に見立てた原作の仕掛けを、自然豊かな八丈島沖の孤島ホテル「自然の島ホテル」へとローカライズ。特に、撮影当時重い病と闘いながら撮影に臨み、これが事実上の遺作の一つとなった渡瀬恒彦の静かなる怪演は、冷徹な法執行者の狂気と威厳を完璧に体現しており、国内外のミステリーファンから極めて高い評価を獲得しています。