ベトナムの一弦琴ダン・バウに魅せられた演奏家・小栗久美子|音の架け橋が拓く伝統と革新
ベトナムの一弦琴ダン・バウに魅せられた演奏家・小栗久美子|音の架け橋が拓く伝統と革新を徹底追究! 知っておきたい 情報と解説を凝縮して配信します。
ダン・バウという楽器は、演奏者のわずかな体温や湿度の変化、左手の微小な力の加減によって音色が著しく変化する。極めてセンシティブな楽器なのだ。
フレットレスがもたらす無段階の表情
一般的なギターやバイオリンのような指板が存在しないため、ダン・バウには「固定された音程の位置」が存在しない。すべては奏者の耳と感性、そして左手の感覚にかかっている。
- 右手のアタック: 小指側の側掌部で正確に倍音ポイントを押さえつつ、水牛の角や竹で作られたピックで弦を弾く。
- 左手のピッチコントロール: 棒(モー)を前後に倒すことで、無段階の音程跳躍とビブラートを付与する。
- 残響と響き: 木製の共鳴胴と瓢箪(ひょうたん)型の飾り(現在は共鳴体として機能)が、深くあたたかい残響を生む。
小栗は、ヴァイオリン演奏で培ったピッチの精度を基礎に据えつつ、ダン・バウ特有の滑らかな音程の揺れ(滑音)を高次元でコントロールする。そのピッキングの正確性と表現の正確さは、本国ベトナムの専門家からも高く評される。