人の顔が覚えられないのは病気?相貌失認セルフチェックと脳の仕組み

人の顔が覚えられないのは病気?相貌失認セルフチェックと脳の仕組みについて専門的な視点から解説いたします。専門家の見解をお届けします。

なぜ、本人の努力や誠意とは無関係に顔が覚えられない現象が起きるのでしょうか。その答えは、脳の視覚情報処理プロセスに隠されています。

人間が物体を見るとき、脳は色や形を分析して対象を判別します。しかし、「人間の顔」だけは特別な例外として扱われています。脳の側頭葉底部に位置する「紡錘状回顔領域(FFA: Fusiform Face Area)」と呼ばれる部位が、顔認識専用の高速プロセッサとして稼働しているのです。

通常の物体は「車輪があるから車」「取っ手があるからマグカップ」というようにパーツの足し算(部分処理)で把握されます。これに対して顔は、目・鼻・口の配置バランスや距離感を瞬時に一体のものとして捉える「全形処理(ホリスティック処理)」によって識別されます。顔を覚えられない人の脳内では、この紡錘状回を中心とした神経ネットワークの連携がスムーズに機能していないことが脳機能イメージング研究で明らかになっています。

また、顔と名前が一致しない現象には「側頭極」や「海馬」の働きも絡んでいます。顔の視覚情報と、言語情報である「名前」は、脳内のまったく別の領域に保管されています。紡錘状回で得た視覚データが側頭極で個人情報と結びつき、海馬の引き出しから名前を取り出すという一連のリレーが、疲労やストレス、あるいは先天的な回路の特性によって途切れてしまうのです。

池田 達也

池田 達也

マネー&キャリアエディター

Webメディアでの編集・執筆歴10年。読者の好奇心を刺激するストーリー作りを心がけています。

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